本達の旅立ち 『ロンドン・コーリング/Nomad Lifeを生きる』
数ヶ月前の話だが、日本に残してあった蔵書、写真アルバム、古い手紙、記念の品など、私にとって愛着のある品をかなりの量処分した。処分せざる負えなかったと言った方が良いかもしれない。それぞれのカテゴリーごとに買い取りしてくれるところを探し、少しでも無駄にならないように試みた。それでも随分ゴミとして処分した。
明らかに貰い手のありそうなものは、貰い手を見つけることにも努力した。
その「もの達」に次の新しい持ち主に可愛がってもらって「活きてほしい」からだった。
この作業はやたらに時間とお金もかかった。はっきり言って捨てた方が早いし安上がりだ。でもそこまでしてでも、「活きて」ほしかったのは、私のその「もの達」への慈しみと愛情という全く個人的で一方的なセンチメントでしかないのだが、そうしないと気が済まなかった。
ロンドンに舞い戻って来た今も、同じような作業を時々している。
主に蔵書とCDだ。
ずっと持っていればまたいずれページをめくる日があるのかもしれない、と思うと心が揺れる、、、。CDはコンピューターにダウンロードも出来るし、オンラインで聴くことも出来るので、そこまで後ろ髪は引かれないのだが。
手放そうと思った本の多数が私のお気に入りの古本屋さんで購入したものだった。
エンピツで書かれた昔の値段もそのまま、、、
その本を買った時のことや、当時の出来事もいろいろ思い出す。本を手にとっただけで、その時の自分や状況にスッと戻れるのだ。ちょっとしたタイムマシーンだ。
1冊1冊手にするたびに遥か遠い思い出にふけってしまう。
でも私の本棚にジっとさせているより、この本達にも旅をさせなきゃ! そして私はもっと身軽にならなくてはいけない!と自分に言い聞かせる。
件の古本屋さんに買い取りの段取りについての質問の連絡をすると、バイヤーのいる日を予約しなくてはならないそうだ。
そして予約を取る前にまず、eメールで著者、タイトル、ISBNなどの必要事項を伝え、バイヤーがそれらの本に興味があれば、その本を持ち込むことが出来る、とのこと。でも買い取りの保証はない。どうなるかわからないが、とにかくメールを書いた。
幸い一応全て見てくれる、という返事があったので、バイヤーに会う予約をとった。
日本の本の買い取りよりは、随分高く買い取ってくれたが、それでもまぁ、二束三文である。でもそのことはあまり大した問題ではない。
チャリティーショップに寄付することすら考えていたのだからラッキー!である。
この古本屋はロンドン大学の近くなので学生の客が多い。
どうか新しい持ち主のお役に立ちますように。
私の人生の大切な時期に一緒にいてくれた本達はお役目を終えてまた次の出会いへと旅立って行った。
Thank you and Good luck!
Photo by Sanorui&NK