春愁の朝『ロンドン・コーリング/Nomad Lifeを生きる』
時々全く先が見えないと感じる。自分の甘さや弱さに嫌気がさして、何の突破口も見つけられない、と感じる時。そこにあるのは自分のちっぽけさだけ、、、、、
前向き思考に自分を鼓舞しようとしても、とても無理。
夜中に目が覚めた時、朝起きた時、胃のあたりにズッシリと重い塊がある。
そんな日が何日も続く。
先日書いたロシアのピアニストで長年ジュリアード音楽院で教鞭をとったロジーナ・レヴィーンと夫のピアニスト、ヨゼフ・レヴィーンはアメリカに亡命する前の10年ほど大変な苦境を強いられた。反ユダヤ主義の風潮やロシア革命の徴候に伴い夫妻はベルリンに移ったが、そこでは第一次世界大戦勃発で敵性外国人として幽閉された。その上ロシア革命でロシアに残してきた預金も全て失った。戦争のために演奏会も開けない、一握りの生徒からの謝礼金で生き延びなければならないほど困窮したと言う。
演奏家としても大変優秀であったロジーナであるが、歴史に運命を翻弄され、自らのソロ活動は控え夫とのデュオ演奏以外は夫のキャリアを優先し夫を支えた。夫を突然亡くした後、70歳を過ぎてからソロ演奏活動に復帰、最後まで芸術を貫いた強さ。
その表向きの強さの裏で、ひどい鬱症状に苦しんでいたことが、極少数の彼女の側近によって語られている。
さて閑話休題。今日から5月。
気温8度だけど雲ひとつない晴天の朝。
冷たい空気を春愁の胸に深呼吸。
Photo by Sanorui&NK